霞みゆく破片

漫画と映画の感想ブログ。アウトプットすることで覚えておきたい。

パディントン

家を求める孤児のくまを受け入れていくアメリカ人家族の物語

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基本情報

作品名:パディントン
監督:ポール・キング
原作:マイケル・ボンドくまのパディントン
ジャンル:ファミリー
描写:実写+CG
公開:2014年
音声:字幕・吹替

作品概要・感想(ネタバレなし)

物語について

温もりのある可愛らしい物語。
なんだかんだ言って家族っていいよねと思わせてくれる。
善悪が明白な描かれ方をしているので味方同士が結束しやすい展開。
描かれる価値観はとてもシンプルで子供にも分かりやすい筈。
ある意味では「理想」であってファンタジーな世界。

絵本を映画化した情報量の肉付けが非常に多く
キャラも多少現代風にアレンジされていてイメージと異なる点はある。
思わず吹き出しちゃうような笑いの要素もあって退屈しない。

映像について

色彩が綺麗。
見ていて何のストレスもなく、キラキラした絵本の立体化という感じ。
動物の無垢な可愛らしさと野生の不衛生感のバランスも自然に描かれていて
あらゆるシーンのCGが良い演出になっている。

 

1シーンごとのあらすじ・感想(ネタバレ)

パディントンの故郷

くまたちが住む壮大なジャングル「暗黒の地ペルー」に
探検家の人間がやってくるところから物語が始まる。
こんな話だったっけ?と幼き日の記憶を辿ってしまった映画オリジナル部分。
絵本ではパディントンが駅にいる状態からのスタートだったものが
人間の住む街にやって来る発端が描かれている。

くまとコミュケーションをはかり、人類の文明を教えてくれた探検家は
いつかロンドンに来たら歓迎するよと友好の証に帽子をプレゼント。
この帽子はくまの叔父さんパストゥーゾが貰い受けて宝物となった。
これをきっかけにいつかロンドンに行くことがくまたちの憧れとなる。

設定の作り込みが細かい!
無理のない納得を呼ぶ原作にない追加情報の部分。
両親は既に亡くなっていて叔父叔母の夫婦と3匹で暮らしていた点も
パディントンが家族に憧れる一要素になったのかなと深読みしたり。

マーマレードのエピソード

マーマレード作りを継承したくまたちが描かれる。
探検家が教えてくれた1つであるマーマレードをくまたちは気に入り
自ら作る術まで覚えた模様。頭いいな!
大自然の中で器用に設置されたマーマレード収穫+生産ルートが凄い。
DASH村もビックリのクオリティでワクワクしちゃう(笑)。
色彩が美しくて画面が華やか。

はしゃぎまわるパディントンから帽子を奪い返した叔父さんは
マーマレードを頭からかぶってしまい
「やらかしたな…しかし美味い」と顔に流れ落ちるマーマレードを舐めるシーンが可愛い。

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ロンドンへ向かう理由

ペルーに大地震が起きて叔父さんが死んでしまう。
悲観的なムードは然程なく、自然の摂理として受け入れる描き方。
死んだ叔父さんの身体も木に隠れて映されない。
帽子が叔父さんの形見となり、やっと私たちの知ってるくまの手に渡るのね。

叔母さんは「老熊ホーム」に入るそうで初耳の言葉にクスッと笑いつつ
突然孤児として放り出すの無責任なんじゃ?とも。
しかし序盤にあったロンドンへの憧れがここで繋がっていくようだ。

いざロンドンへ

貨物船の荷物に紛れてこっそり密入国
そこは堂々とコミュニケーション取らずに忍び込むスタイルなのね。
こっそりマーマレード舐めたり投げ落とされて悲鳴あげてるシーンにクスリ。
叔父さんの死や叔母さんとの別れよりも冒険を楽しむ気持ちが膨らみやすく
次の展開はどうなるんだろう?って好奇心わくわく。

しかし、到着した港の人ごみで右往左往するも誰も親切にしてくれない。
私にとっては日常の都会あるあるな光景も
軽い気持ちで受け入れて貰えると信じてきたくまには可哀想。

トランクの上に腰を落とし、駅のホームでしょんぼり座っているくま。
さぁここでようやく絵本と結びついた。
なるほど、こういう展開を経てそこにいたのか!

鳩とのやりとりが面白すぎ(笑)。
非常用だからとパンをしまい込むも同情してひとかけらあげたら
鳩がザッッと増えるコミカルさナイス(笑)!
しかもこれが伏線となって後々に繋がるっていうのも作り込みがうまい!

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ブラウン一家との出会い

くまを煙たがる父ヘンリーをよそに、心配して声をかけてくる母メアリー。
あれ、ヘンリーさんってそんな冷たいキャラだったっけ?
でもメアリーの押しが強くてなんとかくまを連れ帰る展開に。

レストランのシーン!
そうそう絵本にもこれあった!動いてる!っていう
原作を先に読んでると感動するシーン。
食べ方を知らないくまが人間社会に入り込んだ違和感が可愛らしい。
トマト型のケチャップ入れをまるかじりして「熟れてないな」って言うとこ好き。

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叔母さんたちにはこう呼ばれてたと名前を紹介するところで
急に本格的なくまっぽい吠え方を出してきて面白い(笑)。
「もっと喉を使って!」って真剣に発音講座したり
何が何だか分からない、最早バカバカしいとさえ思ってそうなヘンリーに無理矢理言わせ
渋い顔をして「それとても失礼ですよ」って的外れな発音を指摘する流れ最高(笑)。
まぁ、くまだもんね…?という納得と
なんでだよ!会話は普通に出来るんだろ!という突っ込みが混在。
原作ではくま語じゃなくてスペイン語だった模様。

駅名からとってパディントンにしましょうって決める時の絵の構図が
すごく綺麗に窓の外の景色とくまの顔が並んで良い表現だなぁと思った。

お風呂事件

ブラウン一家は螺旋階段越しに壁に桜の木が描かれている立派な一戸建て住まい。
パディントンも目を輝かせ一瞬で気に入るが、家をくれるのだと勘違いしていた。
レストランでケーキ貪り食ってるシーンも思ったけど
外であれだけ食べたらそれなりにお金かかるわけで、家も然り巨額である。
でもパディントンにはその価値が分からないからいたって無邪気。

お風呂を勧めるメアリーは場所を教えるだけで付き添わんのかーい!
案の定の大惨事。
その隙に家の保険を超特急で増やそうとしているヘンリーも面白い(笑)。
急がないとこの家やられるぞっていう両方を見てる私たちはその必要性もよくわかる。

歯ブラシを耳に突っ込むシーンは深く入れすぎでは!?
いやいやいやいや、痛い!痛い!って目を瞑ってしまったけど
パディントンはうっとり気持ちよさそうな表情で取れ高がエグい(笑)。

マウスウォッシュ飲んじゃったり、便器の水飲んじゃったり
見てるこっちも悶絶しそうな大ハプニング。
ドア閉めてるだけでそんなに水量溜まるのおかしいと思えど
螺旋階段がいいすべり台となって1階のキッチンへ到着するシーンは痛快。
アトラクション化しやすそう。

ベッドを使わず慣れた手つきで柱をよじのぼって天井付近で眠る姿は
動物ならではの可愛らしさにキュンとした。

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街のヒーロー

絵本と違ってブラウン一家はパディントンの同居を受け入れず
ヘンリーは一晩の宿泊しか認めなかった。
パディントンが被っている帽子を手掛かりに探検家を探すことになり
メアリーは骨董品のお店にパディントンを連れて出かけた。

店主が振舞ってくれたお茶セットが可愛い!
部屋の中を汽車が走り、車体からお茶や砂糖が出てくるシステム。

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無邪気に汽車を追いかけむしゃむしゃケーキを食べてるパディントン
その可愛さに「美味しい?良かったねぇ」って言いたくなり
見ている私はいつの間にか彼の幸せを願うようになっていた。

店内でスリが発生し、犯人が逃げようとしたところで財布を落とすと
パディントンは親切心100%でお財布落としましたよと届けに追いかける。
派手に街の人を巻き込んで注目を浴びたところで
犯人から大量の他の財布が出てきて御用。
ひったくり逮捕の勇者としてパディントンが称賛されるも
「ぼくはただ、おとしものをとどけようと…」って善意しかないのがまたほっこり。

くまが家にいるなんて知られたくないとクラスメイトに伏せていた娘ジュディも
この一件で見直してパディントンに心を開くようになった。

映画オリジナルキャラ

白衣を着た剥製マニアの美人女性ミリセント。
大きな博物館に飾られた剥製の動物のツノがレバーとなり隠し部屋登場。
壮大な装置、秘密の世界、ワクワクする要素がふんだんに詰め込まれている。

そこはミリセントが私用で設けた剥製コレクションを飾った部屋で
パディントンがロンドンに来たことを知った彼女はコレクションに加えることを企む。
剥製用に捕らわれた檻の猿が怯えているが、最終的にこの子も助かるのが素敵。

ミリセントはタクシー運転手を逆さづりにして脅迫。
パディントンの居場所を吐かせ、ブラウン家の隣人カリーに接近する。
悪者らしい容赦ない残虐なシーンが続きながらも
隠し部屋の面白さ、猿の可愛さ、運転手のユーモアでシリアス感は薄い。
「この時間はそっちの道混んでるよ」って教えてくれる運転手親切すぎる(笑)。

カリーさんはミリセントに一目惚れしてあっさり手駒となる。
ちょっとマヌケなキャラのカリーさんも良い味出してる。

地理学者協会へ

1泊しか滞在を許さないと言って「しかるべき施設」を推奨したヘンリー。
子供たちのイメージはアウシュビッツ強制収容所の門に似ている。
骨董品のお店で帽子に地理学者協会と書いてあることが分かり
メアリーの懇願に負けたヘンリーはパディントンを連れて調べに行く。

受付のような場所で書類を請求すると
ウォータースライダーのように紙が透明パイプを流れて辿り着く不思議システム。
スチームパンク風デザインでこれもまた好奇心を煽る可愛いデザイン。
マーマレード収穫ルートと言い、バスタブと言い、流れるの好きなのね(笑)。

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ある筈の記録がないと言われ、納得出来なかった2人は自力で忍び込む。
「内緒でなんかする」って子供が大好きなやつよね。

堅物イメージだったヘンリーがナースの女装をして
義手の設定を貫くところも思わず笑っちゃうシーン(笑)。
ブラウン家の親戚で住み込み家政婦のバードさんが
前はもっと情熱的で優しかったけど子供を守るべく厳格に変わったと言っていたけど
その片鱗が見え始めてきた。
守りたいものがあると人は変われるのね。

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書類を元に戻そうとして間違ってサンドウィッチ入れてしまい
パイプを詰まらせちゃったパディントン
やらかすとは思っていたけど、このヘンリーと一緒ならハプニングすら楽しい。

資料は映像としても残っていて、パディントンの故郷の上映会に。
吸い込まれるように画面に伸ばした手には愛しさと恋しさが溢れていた。
暗黒の地ペルーに行った記録が隠されていた理由は後程明らかになる。

キッチン戦争

家族の信頼を経て家に1人留守番を任されたパディントン
セロテープがうまく貼れなくてぐるぐる巻きになってる姿が可愛い。
ペットの犬や猫がいたずらしてるのを見てるような感覚。

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隣人カリーが悪女ミリセントに連絡し、捕獲作戦が動き出す。
吹き抜けの天井からガスマスクをつけた降下するミリセントを象と勘違いし
慌てて冷蔵庫に逃げたパディントンはなんとか無事だった。

しかしキッチンは大惨事で火災騒ぎになり
慌てて帰宅した家族たちは全部パディントンの仕業だと思って責め立てる。
象に襲われたと言っても信じて貰えず
置き手紙を残してパディントンは黙って家を出て行ってしまった…。
「僕がいなくなって少しは平和になりますように」
この物語で1番悲しいシーン…。
そんな自己否定はやめておくれよ。君には無邪気に幸せでいて欲しいんだ。

クライド家

探検家モンゴメリー・クライドの家を1人で探すパディントン
苗字は分かれど、名前はイニシャル1文字の手掛かりのみで
M.クライドさんの家を1軒ずつ訪問していく。心が折れそう。
博物館の門番さんは無表情ながら黙って雨宿りさせてくれたり
長い帽子からそっとサンドウィッチ出してくれたりしてちょっとほっこり。
世の中に絶望させない要素を描いていて救われる。

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ようやく見つけた探検家の家は、なんと悪女ミリセントの家だった。
獲物の方からわざわざ蜘蛛の巣に出向いてしまうなんて!
モンゴメリー・クライドは本当はくまたちを剥製にして提出すべきだったのに
仲良くなっておしまいで仕事を放棄したために追放されてしまったそう。
その汚名を晴らすべく娘のミリセントが奮闘していたというからくりだった。

カリーさんは「しかるべき場所」を故郷ペルーへ送り返すものだと思っていたが
剥製にすると分かって偽名でブラウン家に通報。
正体がバレバレながら、味方になってくれて良かった!

団結

バードさんも揃ってブラウン一家皆でパディントン救出へ!
この終盤の波乱万丈な展開は、勢いだけじゃなく
これまでに散りばめた小さなエピソードが伏線となって一気に回収していくのが凄い!
博物館内へ忍び込むルートは母メアリーの小説の発想から下水を通り
バードさんの趣味であった掃除機を伝って煙突を登っていくシーンなど。
ジュディがくま語をマスターしていた点もここで活きてくる(笑)。
手に汗握りながらハッピーエンドを願い、お酒に強いバードさんの大活躍で無事勝利。

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念願の…

パディントンに教わってマーマーレード作りをするブラウン一家。
すっかり家族として受け入れられて感動しているパディントン
CGが繊細で、表情から伝わる感情もこの映画の魅力。
胸があったかくなる作品でした。

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