霞みゆく破片

漫画と映画の感想ブログ。アウトプットすることで覚えておきたい。

シャーク・ナイト

サメが人を襲う映像で金儲けする物語

f:id:comic-movie:20190725113836j:plain

基本情報

作品名:シャーク・ナイト
監督:デヴィッド・R・エリス
出演:サラ・パクストンほか
ジャンル:サメ映画
描写:実写・CG
公開:2012年
音声:字幕

あらすじ(ネタバレあり)

大学生たちの初々しい男女混合7人旅でサラの別荘へ。
全員が無人島に到着してからサメの出現。
腕を食いちぎられ別荘に帰還した黒人坊主を病院へ連れ出そうとするが
陸を離れた者が次々襲われていく。
サラの現地の知人や元カレが意図してサメを放流し
人が食い殺される映像を放送する金銭目的の悪巧みによるものだった。

【襲撃される人たち】
・海でイチャつくカップルの女性(序章)
・学生@黒人坊主(腕負傷→サメに投身して自殺)
・学生@黒人坊主の彼女
・学生@チャラ男
・学生@黒髪我儘ビッチ
・学生@坊主搬送中の男
・島民@メタル好きな保安官
・島民@元カレ
・学生@サラとニック(主人公たち)

全員死んだ(笑)。
次に死ぬの誰だろう、誰が生き残るかなと思いながら見ていて
ハッピーエンドに納得したところでまさかの主人公たちも死んだ。

感想(ネタバレあり)

物語の主軸が人間関係にあって、交流や人物描写の演出が丁寧。
従って自然と感情移入しやすく
パリピが不注意で喰われるだけのサメ映画とは一線を画す。

空撮やCGも綺麗で、サメのリアリティや迫力も満足。
サメの意思は描かれず、サイコパスな島民たちが操る凶器という位置づけ。
キャッチコピーの46種類は全種登場はしないが
珍しくサメの種名が解説されるシーンがあって初心者には勉強になった。
その後ネットで色々調べたくらい興味がわいた。

ぶっ飛んだ設定はなくB級サメ映画特有の笑いどころはないが
全体的にクオリティが高くて楽しめた。THE正統派。

特筆したい点

黒人カップルの絆が良い

ラグビーで好成績を出した彼氏がこの旅行でプロポーズを計画。
友人に「1人に決めるなんて!」と言われても彼女を大切に想い
島民にからかわれた彼女を守る攻撃的な男らしさや
腕を失って1番に「ラグビー出来なくなったら彼女がなんて言うか」
とガッカリさせてしまうことを心配するなど
とにかく彼女のことが本気で大事なんだと一貫する描写が素敵。

彼女もまた怪我した彼から離れないと我を貫き
危険を侵しても側にいようとする姿がとても自然で共感出来た。
意思のないサメに仇を討つ怒りや憎しみもまた深い愛。

坊主が仲間の囮のように死を決意して飛び込んだのも
彼女がいないこの世に未練がないって所が大きいだろうし
なかなか感動の純愛で良かったなー。

ビッチとチャラ男は死ぬの待ち

見始めて早々に「こいつらすぐ死ぬだろうな」と思ったキャラたち。
案外生き残ってるから死ぬシーンが待ち遠しくて
ビッチが「ここにいたくないの」って別荘を離れるとフラグに胸が躍ったり
チャラ男がマングローブの木に登って一命を取り留めると残念に思ったり。
そう、君たちは死ぬべくして登場した人物だ(笑)。

旅に出る前のビッチの入れ墨シーンが何気に面白かったな。
電話越しに"最中"であることを伝え
「彼、上手そうだから15分もあれば終わるかな」と言って
痛みに耐える布を噛み締めて彫られていくっていう(笑)。

ダルマザメという存在が興味深い

ビッチが殺される際の「サメがここにいる理由」の種明かし。
ここまで来てやっと状況を察する構成も面白かったし
日本のキャッチコピーの「46種類」がここにあることを知る。

これまで割とたくさんのサメ映画を見てきたけど
発光する小型の人食い魚類が描かれたものは初めて見た。
こんなサメいるんだ!っていう好奇心を煽られたシーン。
襲われるシーンはピラニア映画みたい。
調べたらダルマザメの攻撃は致命傷には至らないとあったけど
直接の死因は溺死になるんですかね。

保安官とニックの戦いが1番怖かった

椅子に縛られて拘束された真横の床下にサメが泳いでる…!
蹴り落されてバッシャーン!かと思いきや椅子ごと沈められて
サメを目視した上で引き上げられる危機一髪感に凄くハラハラした。
井戸に沈めては引き上げる昔の拷問より怖い。
恐怖で呼吸を乱してる演技も抜群。

危険な場所でメタル野郎(保安官)が調子乗った時点で死を察したけど
その火の量の爆発が跡形もなく簡単に消えたことには違和感。
小屋一帯が火事になって床が抜けて一緒にドボンもありえるのに。

元カレが1番死に相応しい

サラが3年もここに寄り付かず、彼氏を作らなかった理由が語られる。
当時付き合ってた今回の主犯と別れて大学に行くことを決め
最後にお気に入りのビーチでダイビングをした時に事件が起きた。
酸素ボンベにトラブルがあって、彼氏に手を伸ばしたら突き放され
状況を察するに「フラれた男が彼女を殺そうとしていた」印象。
しかしサラは何とか自力で水面に辿り着きボートを動かすと
エンジンのプロペラに彼の顔面を巻き込んでしまったという。

怪我した彼を搬送したきり、逃げるように島を飛び出て以来の再会で
男が恨むのも無理はないし、サラがトラウマを抱えるのも納得。
でも元を正せばストーカー行為からの殺人未遂なわけで
サラは普通に幸せになる権利があったよね。

檻の中から元カレの手を握って言い訳や謝罪をするシーンは
全部が嘘ではなかったと思うし
彼は今でもサラのことが好きだったからこそ心が揺れ
再び裏切られたと感じてキレてしまったのだろう。
可愛さ余って憎さ100倍。

それとサメ殺人動画の撮影は別件だけどな。お前は悪だ。

檻の上部から脱出出来そう

サラが閉じ込められた檻の構造が不思議。
ちょうど顔位置だけ縦柵がなくて、華奢なサラなら横向きに出られそう。
映画撮影中に万が一の事故が起きたことを想定して
自力で逃げ出せるように配慮したとかなのかなー。

最終的にはサメが激突して柵を壊してくれて
サメを退治した上で広がった穴からニックが連れ出して救護。
サラに口づけで酸素を送り込むシーンがちょっとロマンチック。

皆死ぬんかい

船に上がってサラも息を吹き返し、やっと収束のハッピーエンド
…かと思いきや巨大なサメが正面から飛び掛かって来る図でエンド。
そうだね、あのキューブ型の超音波の機械使わなきゃ次々くるよね。
続編も作れそうなサメうようよ地帯。