霞みゆく破片

漫画と映画の感想ブログ。アウトプットすることで覚えておきたい。

フローズン・ブレイク

雪山でロープウェイが壊れて凍える物語

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基本情報

監督:ティグラン・サハキャン
原題:Break
公開:2018年 / ロシア
時間:85分

 

あらすじ(ネタバレあり)

男女5人組が雪山で年越しパーリナイしようぜ!と繰り出し
営業時間を過ぎたロープウェイを強引に稼働させる物語の始まり。
カップル×2+クソ野郎ロマくん=5人のメンバー。
主人公の女性カーチャは別れを切り出すタイミング待ちで
彼氏のキリルはプロポーズのタイミング待ちという温度差がある模様。

「カーチャ」という名前がどうも「母ちゃん」と変換されて聞こえるので
全てを台無しにするような気分が最後まで続く。

キリルは婚約指輪を入れたバッグが見当たらないことを理由に1人だけ乗らず
事故停止して閉じ込められてしまった4人の異変に気付いて助ける役割。
助かったのはカーチャのみ。
別れを考えてた癖に吊橋効果でキリルに愛を感じて結婚を約束する結末。

全く感情移入出来なくて「絶対すぐ冷めるだろ」と思わずにいられなかった。
友情も愛情もなんだか安っぽい。

マイナス10度の寒さっていうのが売りの映画のようだが
見ている者にはそんなに伝わらない。
謎にキリルが聴いてる音楽がフューチャーされるが監督の自己満?
パッケージ以上の予想外の展開はなく、規模の小さな残念作だった。

 

それぞれの「死に方」「生き延び方」の詳細

ロープウェイ操作スタッフのおじさん

「なんでそうなるんだよ」って1番突っ込みたい死に方をする人。
ロープウェイのロープに巻き込まれて首吊り状態で事故死。
操作する人がいなくなり、その上鉄の棒が挟まってロープウェイが停止。
死んでることにもなかなか気づいて貰えない。

 

青年デン

停止したゴンドラの床からロープを垂らして地面に着陸しよう計画を実行。
青年デンが皆を代表して実験台となり下へ下へ。
いざ着地しようとしたら地面だと思ったところは軽い大雪が積もっていただけで
激しくなだれ、この計画の遂行は無理だと判断し引き上げるよう頼むデン。
しかしロマはアッサリとナイフでロープを切り、デンをわざと見殺しにした。

 

デンの彼女ビク

置かれた状況に対して危機感が弱く
この状況でズボンを脱いで立ちションしたり、カーチャに迫ったり
嫌われそうなことを安易に次々やってのけるロマが悪役となる。
当然彼氏を殺された恨みをロマに向けるビク。
仇討ちをしようとしたが
彼氏が落下した際にナイフで自分を切りつけてしまった傷が深く
極寒の中で次第に気を失って息を引き取った。
カーチャは自分の上着を脱いでビクにかけて守ろうとしたが助からなかった。

 

クソ野郎ロマ

ビクには虫の息があったが実質動けるのはカーチャとロマの2人だけ。
ヘリコプターの音が聞こえて大慌てでゴンドラの上によじ登る活発な2人。
カーチャは発煙筒を持ってアピールするが結局気付いて貰えなかった。
そして助け合うことなく一騎打ちが始まる謎展開。
とっととロマ落っこちろって誰もが思う中、素直に落ちる面白みのない展開。

 

ポロポーズ彼氏キリル

事故が起きてることなど露知らず、カーチャとの恋愛事情で頭いっぱいのキリル。
意を決して電話するが通じない。
そこでようやく異変に気付き、不安と心配でタクシー安否を確認しようとする。
ホテルを確認し、タクシーに飛び乗り、渋滞と吹雪の中飛び降りて足で向かい
スタッフの遺体を見つけて現場の全てを把握し
近くにいたトラクターに無理を言って鉄の棒を除去させるという純愛ヒーロー。
彼が主役の方が良かったんじゃない?とも思う。

 

主人公カーチャ

うたた寝したカーチャの掌がゴンドラの床にくっついて凍結してしまい
強引に引きはがすシーンだけは良かった。

暴れ過ぎたせいかゴンドラの耐久性が悪くなり、ゴンドラまでも落下。
カーチャは間一髪、ロープに引っ掛ける部分に乗り移り救助を待つしかなくなった。
最終的にちゃんと救助されたもののパラシュートなんで使わなかったんだ。
この主人公に助かって欲しいと思う程の感情移入はなく
「お前の幸せに興味ないわ」という乾いた感想しかわかなかった。完。