霞みゆく破片

漫画と映画の感想ブログ。アウトプットすることで覚えておきたい。

十二人の死にたい子どもたち

集団自殺の為に集まった若者が殺人事件を紐解く物語

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基本情報

著者:冲方丁
監督:堤幸彦
公開:2019年1月
出演:杉咲花 / 新田真剣佑 / 北村匠海 / 高杉真宙
   黒島結菜 / 橋本環奈 / 吉川愛 / 萩原利久 / 渕野右登
   坂東龍汰 / 古川琴音 / 竹内愛紗
原作:別冊文藝春秋のミステリー小説

あらすじ(ネタバレなし)

自殺サイトの企画に応募した12名が廃病院に集まり練炭自殺を計画。
金庫を開け番号札を取って会議方式で異議を問うなど形式的で
全員が「実行」の意に一致しないと始まらない仕組み。
しかし12名の筈が既に先だった1名がベッドで眠っており
このまま実行しては自分たちが殺人事件に関与してしまうと謎解きを始める。

感想(ネタバレ)

自殺欲求の感情詳細が描かれている映画だと勘違いして興味を持ったら
まさかの殺人ミステリーだったので見当違いであった。
それでも多少はその描写もあるものの
全てが「初対面の参加者同士の会話」という薄い言葉でしか描かれず
絶望感は全然伝わってこない。
こういうのは他者へ言葉で説明するより内に秘めたものの方が
余程どろどろしていて映像化した時に伝わりやすいと思うのだが…。
むしろ「ヘルペスが出来て死にたい」というギャルもいるくらい
描かれる自殺願望は「他者から見たらたいしたことがない」と言いたそうだった。
せめてエイズであって欲しかったところ。
私が求めているのはそういうのじゃないんだ、という観点で減点70。

練炭自殺の割に広間を使おうとしているあたり
部屋中の酸素がなくなるまでどれだけ時間かかるんだろうと突っ込みたかったり
原作が小説なだけあって映画向きではない作品という印象を受けた。
脚本の書き換えに大胆さがなかったんだろうなというか。
安楽死と呼び、病院を舞台にするなら、毒薬の注射とか出してきて欲しかった。

恐らく13を死の数字と捉えてのタイトルなのだろうが
同じ位置にいる出演者が多いあまり1人1人のエピソードが弱く
誰にも感情移入出来ないまま終わってしまった感。
ゴスロリやギャルやコミュ障や芸能人と言ったバリエーションがあったのはいいが
アンリが主導権を握るには中途半端で誰も引き立っていなかった。

ラストシーンで「何回目?」とアンリがサトシに問うシーンだけは面白かった。
『十二人の死にたい子どもたち』というタイトルに騙されたなっていう映画でした。